さあ、いよいよ要約筆記者養成講座。

緊張の【要約筆記者養成講座】の受講初日です。

どきどきしながら受付を済ませて会場に入りました。


このとき、受付でテキストを購入する必要がありました。

上下巻の2冊で、
3000円台。

このテキストで半年間の要約筆記者養成講座を受講できます。

既に会場には
50人くらいの人々が集まっていました。


やっぱり、こういう講座に参加するのは女性が多い。

男性は、ほんの数人です。


受講生たちが着席しても、開講までに時間がありました。

沈黙の会場。

初対面の人とは、すぐに話しかけられないものです。

受付で買った教科書をパラパラとめくって時間をつぶそう。

結構、薄い本だなぁ。


そんな印象を持って、ページをながめてみました。

内容は幅広いし、充実している感じ。


わたしは、新しい本のページをペラペラめくって、
早く手になじむようにするのが好きです。

時を経て、
ページの角が丸くすり減るのが、
この上なく好きなのです。


教科書の表紙には、
不思議な幾何学模様が描かれています。

”うずまき”が中心に集まっているようにも見えるし、
外側に広がっているようにも見えます。

当初はわからなかったのですが、
開講式から一年たったいま、
表紙の”うずまき”を見ると、
何か要約筆記の象徴的な意味を感じます。


表紙の書名『要約筆記者養成テキスト』の上部に、
”厚生労働省カリキュラム準拠”と書いてあります。


なんだか、重々しい印象。

気を引き締めて勉強しなければ。



真新しいテキストの扉をちょっと読むと、
要約筆記30年の歴史があるとのこと。


え!…いままで、その資格の名も聞いたことがなかったのに、
そんなに長い間活動されてきたんだと驚きました。



そんなことを心の中で考えていると、
開講式が始まりました。


初対面どうしの受講生たちは、
おしゃべりも少なく、きちんと座っています。


主催者の挨拶のあと、受講生にマイクが回って来て、
自己紹介をしましたが、全員の名前を覚えきれませんでした。



1.午前中の授業


「聞こえの仕組みと聴覚障害者」

(テキスト上巻P4)


初めての講義が始まりました。

講師は、聞こえに困っている方々を長年、支えてきた方です。

パワーポイントの図や表を見ながら、
聴覚の仕組みや、聴覚障害者についての基本的な知識などを教えていただきました。



あらためて図解したものを見ると、耳の仕組みは本当に複雑。


その精巧な作りとシステムに、人体の不思議を感じます。


この耳たぶの奥で、小さくてたくさんの部位が協調して働き合っているのです。

耳介、外耳道、つち骨、あぶみ骨、きぬた骨…。



耳が聞こえるというのは奇跡だ!

あたりまえと思ってはいけない。


感謝しなければいけないと思いました。



しかし、このころのわたしは、のんきでした。


その耳の解剖図や機能がテストによく出ることは考えていませんでしたから。


受講する先に、認定試験があることを知らなかったのです。

それで、のんきなわたしは、お昼休みを気楽に過ごしました。


お弁当を食べながら他の受講生さんたちと歓談。


同期の方々は、子育て中のお母さんや、リタイアした方など、年代、経歴はさまざま。

(この方々は、勉強仲間として仲良くしていただいています。)



楽しくお話していたら、あっという間に午後の授業開始。





2.午後の授業


午後の講師は、補聴器を装着した中途失聴者の方でした。


当事者ならではの経験をまじえて、
「聴覚障害者のコミュニケーション」や、
「中途失聴・難聴者の現状と課題」について、
わかりやすくお話しになりました。

(テキスト上巻P9~)



話し方は穏やかで、発語はとても明瞭。


何も知らないで出会ったら、
聞こえに困っている人には まったく見えません。



とても自然な話し方で、一見すると障害者に見えません。


そのため、周囲の配慮などが得られず、
生活の中で困る場面があるそうです。



聞こえる人は、
ふだん意識していないけれども音声情報に囲まれて生活しています。


たとえば、インターホンや電話、電化製品のアラーム、
赤ちゃんの泣き声など、例を挙げればきりがありません。


世の中が、聞こえる人中心にできているのです。


聞こえない人の生活は過酷です。


警報機のような、命の危険を知らせる音だって聞くことができないのですから。


だから視覚情報が大切になるのですね。


この講義を聴いて、よくわかったことは自分の想像力がとても不足していることでした。



ある日、もし耳が聞こえなくなったらって、
考えたことがありますか?  




要約筆記の本