この日の講義は、手書きとパソコンの2つのコースに分かれました。
わたしはパソコンコース。
(テキスト下巻P28)
いままでの講義では、聴覚障害などの基本的なものでした。
(歴史、法律、日本語、要約筆記の原理原則などの基礎的な内容。)
でも、いよいよこの日、講義は「実践的な」内容になってきたと感じられるものになりました。
やった!
腕がむずむずしていました。
だって、わたし、早く実技を習いたいので!
しかし、講義は、テキストをもとに、要約筆記の使用機器について習うところから始まりました。
使用機器には、入力用パソコン、表示用パソコン、
LANケーブル、ハブ、プロジェクター、スクリーンなどがあります。
いっぱいあるんですよ。
テキストには、それらをどのように接続するか図示されています。
その後、講座で用意してくださった「LANケーブル」や「ハブ」を自分のパソコンに接続しての実技。
講師より、各受講生に「IPアドレス」という、数字の行列みたいなのが割り振られ、それぞれのパソコンに設定しました。
「IPアドレス」は、住所のようなものなので、それぞれ違う番号です。
その後、ハブで中継させて受講生同士のパソコンを「LANケーブル」で接続。
わたしは、「LANケーブル」や「ハブ」というのをあまり見たことがありませんでした。
それを使って他の人とパソコンにつなぐのも初めて。
なにしろ、自分のパソコンのどこにLANケーブルを接続するのかも知りませんでした。
ドキドキの連続です。
パソコンで要約筆記するのには、機器の接続の仕方を知らないとできないということを知りました。
しかし、LANケーブルをつないだものの、なかなか「IPtalk」上で他の受講生とつながりません。
早く実技を習いたいのに、もどかしい気持ちでした。
心配した講師が、わたしのパソコンの設定を、ちょこちょこと変えてくれました。
すると、IPtalkの「パートナー」というタブのところに、ほかの受講生たちの名前が表示されたではありませんか。
「8人モニター」にもみんなの名前が表示されて、つながったと実感。
すっきりと解決。
つながらなかったときの不安が、うそのように解消されました。
その後、講師が口頭で読み上げる文章を、「要約」しながら入力しました。
かなりゆっくり読んでくださったのですが、変換などに手間取りました。
その文章は、整った書きことばなのですが、日付や時間、長い固有名詞が何回も出てきました。
初心者のわたしは要約しようとしてもできずに、全部入力しようとしました。
とにかく、話者が話し出したことばに飛びついてしまいます。
でも、話し出した言葉は途中で別の話に変わってしまいます。
話し手のこの現象は、たびたび起きます。
言いかけているけど、話者の頭の中ではぐるぐると別の考えが浮かび、本当に言いたいことへ話が展開していきます。
言いかけたことばが宙に浮いた状態になり、末尾のことばとは全然対応しない状態。
だから瞬時に打とうとせず、「待つ」ということが必要なのだと知りました。
「知っただけ」で、「実践」はできませんでしたが。
何がいらないことばなのか、まだ頭の中でそぎ落とせませんし、まとめられませんでした。
講師が読み上げた文章の中には、長い固有名詞が何度も出てきました。
それは、一般的には使われていないことばだったので、まったく変換候補にあがってきません。
何かの集まりの待ち合わせの時間を案内する文章でした。
要約筆記を利用する人にとっては、生活を左右する重要な文章です。
しかし、その日付や時間も、数字を入力してから、漢字変換の「 月」「日」「時」「分」などをくっつけていかなければいけません。
それを瞬時にやろうなんて、まだ練習不足のわたしにはできませんでした。
そうしている間に、講師の話はどんどん進んでいき、わたしの「短期」記憶が追いつきません。
…そうか、こういうことだったのか、要約筆記って。
それを実感し、敗北し、うなだれました。
打ち終わった後、それぞれのパソコンからスクリーンへ投影させて、受講生みんなで入力の内容を確認していきました。
けっこう思い通りにならないものです。
その後は、入力用パソコンや表示用パソコンなどのセッティングを実際にやってみました。
全体投影に使うスクリーンの設置、プロジェクターとの接続、スイッチのオンとオフなどの操作をしました。
大きなスクリーンの組み立てや片付け方、プロジェクターのスイッチのオンオフもやってみました。
意外と手順が多く、説明を受けた直後とはいえスムーズにできませんでした。
表示用のパソコンの設定も複雑でした。