ある日、自治体が出している広報を見ていたら「要約筆記者養成講座」の募集のお知らせが目に入りました。
そのときに、はじめて要約筆記を知りました。
要約筆記って何だろう?と、なぜか興味がすごくわきました。
その後、養成講座に半年ほど通い、全国統一要約筆記者認定試験に合格しました。
要約筆記とは、聴覚障害者のための情報保障の手段のひとつです。
その場で誰かが話していることばを、文字にして、すぐさま聴覚障害者に伝えるのです。
文字にするのは、遅くてはいけません。
その内容が間違っていてはいけません。
文字や文章が読みにくくてはいけません。
つまり、速く、正しく、読みやすく文字にして利用する方に伝えなければいけません。
話しことばというのは、繰り返しの表現や、無機能語(例:あのー、えーっと、そのー)などがふくまれていています。
それら全部を文字化すると大量になります。
どんなに急いで読んでも、追いついていけません。
聴覚障害者が文字を読んでいるあいだに、他の人たちの話しことばはどんどん先に進んでしまいます。
その場に参加できているとは言えません。
音による情報が共有されていないのですから。
もし、話しことばの全部を完全に文字化してしまったら、どうなるでしょう。
大量の文字を読みきれない聴覚障害者は、その場の話しことばから取り残されてしまいます。
だから、要約筆記者が耳から聞いた情報を、できるだけ速く、正しい意味を保持した短い文章にして聴覚障害者につたえるのです。
要約筆記者は、聴覚障害者が社会に参加できるよう支援するのです。
その要約筆記の技術は、大きく分けると2つ。
パソコンによるものと、手書きによるものがあります。
それぞれ長所と短所があります。
要約筆記者など、要約筆記をする人が練習しているのは、パソコンと手書きどちらかです。
手書きでの要約筆記は、OHCなどを使いスクリーンに映し出します。
少人数に伝えるときは、紙に文字を書いて見せていくという方法もあります。
パソコンの要約筆記では、パソコンで文字を入力しプロジェクターで出力したものを表示させます。
少人数に見せる場合は、入力している要約筆記者のパソコン画面を直接利用者に見せたり、利用者が専用で見られるもうひとつのモニターに表示させたりします。
実際のパソコン要約筆記のようすがわかる動画をご紹介します。
「話しことば」を、リアルタイムで「書きことば」にして表示していくさまが見られます。
YouTubeより↓
全国統一要約筆記者認定試験に
全員合格を心からお祈りします